レジェンド
僕が花業界に入った頃はまだインターネットが一般的では
なかったので主に「花時間」と言う月刊誌を購読するのが業界の事を
知る1つの大きな手段でした。
当時の僕にとって誌面に名前を連ねる方々はTVに出ている芸能人
よりも輝かしく憧れの存在でした。
数年間花屋で下ずみをする事で大田市場に行く機会を与えてもらい、時々
そこに訪れては憧れのフローリスト達を見かけて、心の中で
レジェンドと呼んでいました。
花市場は音楽フェスで言う所のバックステージなのでレジェンド達の
素顔が楽しめるファンにとっては最高の場所なのです。
数年が経ち、僕の師匠が病気で倒れ仕入れに行く事が出来ない
という事件が起きた。
そこで救いの手を差し伸べてくれたのは師匠の兄弟弟子である
ハイパーレジェンドTさんとウルトラレジェンドYさんだった。
2人のレジェンドは兄弟分である僕の師の今後を案じて仕入れ経験の無い僕を
サポートし育てる事を申し出て下さったのだ。
どちらのレジェンドもスーパーレジェンドでかなりお忙しい方々なのに
自分ごときを挟んで座り、両脇で半年以上もサポートして頂いたのです。
お2人がどの位レジェンドかを説明するのは難しいのですが、
花業界でない人で言うのであればジャンボ鶴田と天龍源一郎が
毎回隣で解答を教えてくれるという事です。
この頃はジャンボと天龍にサポートして頂いていると言うプレッシャーで
毎回仕入れに行くのが怖くて前日の夜なかなか眠れなかったのを覚えて
います。
今回レジェンドについてreportを書こうと思ったのは
久しぶりにN三川さんと言うレジェンドとお話しする機会があった為です。
N三川さんは花業界でない人でも分かり易く説明すると川田利明的な方です。
川田さんは僕が20代の頃から現在まで活躍されているレジェンドの1人です。
数年前に花の生産者さんが開催していたコンテストでご一緒させて頂き、
自分を認識して頂く事になりました。
レジェンドに目を見て自分とお話をして頂ける事の有難さを久しぶりに
噛みしめる事が出来ました。
独立してから何人かのレジェンドに認識して頂き、お話をさせて頂く機会に
恵まれたが、どのレジェンドも本当にカッコよく自分にとっては今でも
憧れの存在だなと再認識する事が出来ました。
レジェンド達はカッコつけていないので普通のおじさんにしか見えない
のですがカッコつけないカッコ良さがとても素晴らしいと思っています。
きっと子供の頃に新日本プロレスよりも全日本プロレスが好きだったので
蝶野正洋の様な表面をカッコつけている人が苦手で田上明の様な見た目は
どうでも良くて中身が大切だと気が付けたのだと思います。
僕は誰かのレジェンドにはなれないかもしれないが細く永く
”あ~あそこの花屋良いよね~”位のテンションで指示して頂ける様に
生きていきたいと思っています。
